スタートアップSansan×BeGlobalが考えるダイレクトリクルーティングの今後。ビジネスSNSと採用代行の未来とは

「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションに掲げるSansan株式会社。同社は280万ユーザーを記録する名刺アプリ「Eight」を活用し、従来の採用サービスでは出会うことが難しい、自社にマッチする人材に対してダイレクトリクルーティングができるサービス「Eight Career Design」を提供しています。

弊社BeGlobalの採用代行サービス「まるごと人事」とも一部協力しながら、相乗効果を発揮して顧客の採用課題解決に向き合っています。今回はカスタマーサクセスグループ マネージャーの長澤さんに、まるごと人事と共に目指す「ダイレクトリクルーティングの未来」についてお伺いしました。


長澤良太 氏 プロフィール

Sansan株式会社 Eight事業部 Eight Career部
カスタマーサクセスグループ マネージャー


Eight Career Design ホームページ:
https://materials.8card.net/for-company/career-design/


名刺から始まる「キャリア作りのプラットフォーム」を元に、企業と人材の新たな接点をつくる。

-Eight Career Designのサービスについて教えてください。


長澤さん:Eight Career Design(以下:ECD)は、2021年2月現在で280万人以上が活用する名刺アプリ「Eight」を活用し、自社に合うターゲットに対してダイレクトリクルーティングができるサービスです。Eightのサービス内で設定できるユーザーの”転職意向度”を利用し、転職意向のあるビジネスパーソンを潜在層から顕在層になる前にアプローチできることが特徴です。ユーザーの登録増加率は大体2週間に1万人増で、1日に700〜800人のペースで増加しています。

-一般的な転職メディアに比べてユーザー増加率がすごいですね。その他にサービスの強みはどこにあるのでしょうか?


長澤さん
:転職希望者が利用する一般的なサービスは、転職活動が終われば退会しますが、Eightユーザーの場合は転職をしても名刺を起点としたビジネスネットワークとして使い続けられるので、退会する必要がありません。たとえユーザーがECD以外のサービスで転職をした場合でも、次に転職をする際に、転職意欲の高まりを察知してスカウトを送ることが強みです。

Eight Career Designというサービス名には転職という用途だけではなく、キャリア形成に活用してほしいというメッセージを込めています。人生100年時代と言われる中、社会人としては50年ほど働くことになります。転職する機会も1度ではなく、2〜3度と複数回あるかもしれません。

資格取得や、セミナー受講、人脈形成など、Eightを活用してビジネスライフを充実させていただくことで、今までにないキャリア作りのプラットフォームになっていきます。一方で企業から見ると、長く繋がっていけるタレントプールを作っていける場所になれると思っています。

-長期視点でECDユーザーと企業が繋がれるタレントプールと求人媒体という形でしょうか?


長澤さん: 考え方としては、営業で使う顧客管理(CRM)に近いと思っています。目指すのはユーザーさんと一期一会だけではなく、どう転職潜在層とタイミングを合わせて採用/入社のきっかけを作るかという、採用のCRMです。どこの企業も目の前の採用が課題になっているため、まだ手をつけれていない長期目線の採用領域を開拓していきたいと考えています。

BG今:確かに「採用見込み客」という概念は、まだないですよね。ECDをタレントプールとして、転職潜在層のタイミングが合った段階で、採用アプローチをできるという仕組みや世界観が素晴らしいと思います。

-ECDの顧客企業様は、採用にどんな課題を感じているとお考えですか?


長澤さん:顧客企業様がECDを利用する1番の理由として、転職顕在層がいる媒体では良い人材を探し切れないという課題を抱えていることが多いです。また、大手求人メディアでは競合企業とバッティングする中で、どう自社を選んでもらうかという点に課題を感じる企業様もいます。

弊社の顧客である中小企業やベンチャー企業が、いますぐ転職したいという顕在層しかいないプールの中で優秀な人材を探していくのには限界がありそうだなと感じています。これからますますダイレクトリクルーティングが必要になる時代が来ると考えています。

ECDでは短期的にいつまでに何名採用する、という採用目標達成のために活用することもできます。さらに、将来転職をする可能性がある潜在層にもアプローチしていくことで、中長期的にも他社よりも先んじてリードを取れるというところにメリットがあります。

-長期目線でリード(見込み客)を増やせる点が面白いですね。短期目線の採用目標を結果につなげたい、という顧客企業様には、どういったことをお伝えするのでしょうか?


まずは通常の転職媒体のやり方と同じで、短期集中でECDユーザーの転職意向度から絞り込んだTier1層へのスカウトアプローチを提案します。ただ一般的な転職媒体では、短期間で人材を採れたか/採れなかったか、で施策は終わりなんですよね。

ECDの場合は短期施策の結果として出会えた候補者が、その瞬間の採用につながらなくても長期的な視点で再び採用チャンスが巡ってくることを狙えます。スカウトを断られようが、他社に転職されようが、ずっとタレントプールにはユーザーが残っているので、ユーザーがどこに転職したのかという情報もわかります。その人の転職意向度が変わったら、転職先で何かあったのかなということも予測できます。このように、企業様にはECDを中長期的な視点で活用することの意義を伝えるようにしています。

ダイレクトリクルーティング×タレントプールという新しい採用文化を一緒に広げていける存在。

-顧客企業様の中では、どのような採用課題が多いと感じておられますか?


長澤さん:多くの顧客企業様が、同業界の経験者や顧客企業様への志望動機が高くある方としか接触していないのが現状です。ECDとしては、転職潜在層に「選考を受けてみたい」・「面談してみたい」と思ってもらうことが先だと考えており、潜在層への選考意向をとることをKPIとして置いています。

BG今:「選考に意欲を持っている方を見極める”面接”には慣れているが、カジュアルに会社の魅力を伝える”面談”には慣れていない」という企業様はいらっしゃいますよね。カジュアルな面談の仕方が分からないという顧客企業様は多いのでしょうか?

長澤さん:多いと感じますね。我々は最初は面接ではなく”面談”を行ってもらうことを推奨しています。実際に事業部の方が面談を行った場合に、「志望動機を教えて下さい」と聞いてしまうケースなどの”面談”に対する認識のズレが生じることがあります。

転職潜在層側としては「弊社の話を聞いてください」というスカウトを経由して面談に来ても、逆に志望理由を聞かれてしまい困る、というユーザーの事例もありました。応募者を待つ採用ではなく、優秀な人材を惹きつける施策の大切さを社内に浸透させることが大切だと思います。

BG今:顧客企業様の採用文化を変えることにもなり、大変なことですよね。ただ、惹きつけられる面談ができるようになると、長期的な目線では「採用力」が上がるので、確実に良い人材を採用できるチャンスは増えますよねー!

-貴社の立場から見て「まるごと人事」とはどのような存在でしょうか?


長澤さん:ダイレクトリクルーティングの文化を一緒に広めてくれる存在だと思っています。ECDのポジショニングとセットで、ダイレクトリクルーティングという採用手法が主流になっていくというお話は、御社から語っていただいた方が説得力があると思うんですよね。

我々はECDという媒体側なので、サービスの世界観を元に提案していくことになります。御社の場合は第三者の目線からサービスを俯瞰して見ていただけます。御社から積極的にダイレクトリクルーティングの有効性を発信していただけると、我々にとっては非常にありがたいです。

BG今:マクロな話をすると、10〜20年前には主流であった大手求人広告経由での「応募→面接→採用」が中途採用だというパッケージが崩れ、いまは複雑化していると考えています。良い人材は大手求人広告では見つかりにくい前提の元、「まるごと人事」というサービスが生まれたので、僕らもその変化を世の中に伝えたいですね。特にダイレクトリクルーティングはベンチャー/スタートアップ/中小企業にとって、ますます必須の方法になります。

長澤さん:そうですね!また採用候補者を惹きつける面談文化の大切さについても、御社から発信していただけると嬉しいです。

BG今:なるほど。先ほどの”面談”と”面接”の違いのお話のように、採用の大きな流れの変化を、しっかりと世の中に発信することの重要性を感じました。

-採用をしたい企業様から見た時に、採用代行はどういった価値がありますか?


長澤さん:多様なチャネルを駆使しているRPO企業だからこそ、中立な視点でそれぞれの求人サービスの立ち位置や使い方を発信してくれる安心感ある存在だと思います。まるごと人事さんには、ぜひ中立な立ち位置で強みや弱みを発信して使いこなしていただきたいです。

BG今:ありがとうございます。僕らは媒体に対しては中立な立場でありながら、顧客の中の人の視点で採用施策を考えている立場でもあります。お客様の採用成功に対して一番最適な方法を伝えて、実際に運用できる点で価値を提供できると思っています。

各企業ごとの採用成功に向けて、採用のナレッジとリソースを同時提供してくれる存在。

-実際にECDを利用している顧客企業様に1〜2ヶ月間のご支援させていただいていますが、反応はいかがでしょうか?


長澤さん
:ECDのカスタマーサクセスの立場から正直に言うと、まるごと人事さんにはけっこう頼らせてもらっていますね(笑) 顧客企業様としてはナレッジとリソースが同時に手に入るメリットがあると思います。

これまで中小・ベンチャー企業はダイレクトリクルーティングへのリソースを確保できないというお声もありました。御社のサービスを通してスカウトのナレッジを持った方にご支援に入っていただくことで、スカウトが運用できないという失敗パターンに陥らずに進められていると感じています。

BG今:リソースとナレッジの同時提供による採用成功というのは、まさに我々がやりたいことでもあるので、顧客企業様に伝わっていれば嬉しいです。

-ナレッジ面では具体的に顧客企業様はどのような内容を欲しているのでしょうか?


長澤さん
採用市場の相場感や、他社メディアを知っているからこそできるアドバイスを求める顧客企業様はたくさんおられます。顧客企業様の課題や状況を踏まえてどういった手法が合っているのか、スカウトやターゲットの改善点は何か、を伝えることで喜んでいただけるのではないかと思います。

ダイレクトリクルーティングでは企業様が採用難易度と自社の採用基準を客観的に見つけにくく、自社に入社してもらえる可能性が低いハイクラスすぎる理想人材を探してしまうことがあるんですよね。採用候補者がなぜその企業様を選ぶのか、そしてどう惹きつけるか、というところまで考えると強いと思っています。

BG今:「顧客企業様が採用したい人物」と「候補者が希望する会社」のマッチングをする必要性は感じています。企業様目線だと主観的になりすぎるため、弊社のような会社が入ることで両者の希望がすり合うということですよね。

長澤さん:まさに両面の需要と供給をどうやってきちんとマッチングさせるか。そこは中立の立場のRPO企業に意見を聞きながら進めていただいた方が良いと思いますね。

-RPO企業がスカウト業務を実施することのメリットはありますでしょうか?


長澤さん:「転職潜在者がどうこの求人サービスを体験するか」という想像力を元に、ECDの機能に合ったスカウト施策をご提案していただきたいです。他社のダイレクトリクルーティング媒体を使っている顧客企業様で、そのサービスでのスカウト文章をそのままECDに使用するケースがあります。

ユーザー属性、使用する場面、見るデバイスも違う可能性があるので、媒体ごとにスカウト文章は変えたほうが良いと思いますね。ECDのユーザーはこういう場面で見ているんですよ、という情報を踏まえたアドバイスの必要性を感じています。

BG今:あとはスカウト文章で提示するネクストアクションの伝え方にも工夫が必要ですよね。例えば「まずは気軽にオンラインで話しませんか」「まずは情報交換から」という声かけと、転職メディアの「選考を希望の場合はこちらからお願いいたします」という声かけには温度差があります。顧客企業と媒体の双方の目線から、僕らが調整することが大切だと思っています。

-顧客企業様は採用代行にどのような懸念点を持っていると考えておられますか?


長澤さん:ノウハウやナレッジを共有していただいた先に、顧客企業様が自走できるかというところは懸念かもしれません。まるごと人事には、企業様がいずれは自走して採用を回していけるところまで支援していただく、という点に期待しています。

BG今:そうですね!採用成功を安定的に生み出すことがゴールなので、自走は大事ですね!これは企業様とRPO企業とのタッグの組み方がポイントで、「全部やっておいて」というスタンスで業務をRPOにご依頼いただくと、その企業様が自走できる状態からは遠のいてしまいます。できればパートナーのような存在として、採用成功に向けた共同プロジェクトとしてRPO企業が伴走するのが良いと思っています。

-まるごと人事をご紹介いただいた顧客企業様で、特に採用がうまく行っている顧客の事例を教えてください。

長澤さん:製薬領域の企業様は、御社にご支援いただいてから急激に成果を出しています。6ヶ月間で4名採用できていて、顧客企業様も「もし人材紹介会社に依頼して採用していたら採用費用が何倍したことか」と喜んでいらっしゃいました。

”待つ採用”から、”攻めの採用”がメインの時代へ

長澤さん:もともとECDを導入していた別の顧客企業様では、採用活動が滞っていた中、御社を紹介したことでアクティブに活動に取り組むようになった事例もあります。運用を内部からフォローしていただいたことで、ご支援後は自分たちで自走して進められているので、かなり大きな役割を担っていただけたと思っています。

-自走できるようになった理由は、どのようなところにあったのでしょうか?


長澤さんまるごと人事の担当者と一緒に手を動かしてもらえたのも大きな理由だと思っています。1から10まで全部自分たちでやるのはきついけれども、1から5までは自分たちでやって、6~10はまるごと人事さんが担当するという関係性を築けたのが良かったのではないでしょうか。

顧客企業様の後ろにはECDのカスタマーサクセスがいて、前ではまるごと人事さんが引っ張ってくれている役割で、顧客企業様も動き続けられたのかなと思います。

-まるごと人事の担当者/社員に対してどのような印象を持っておられますか?


長澤さんどこまでもクライアントに寄り添った対応をしてくださっているという印象です。顧客企業様が求めているニーズをしっかり聞いて、要望に応えようというスタンスで日々課題に向き合っていただいています。弊社としても、顧客企業様との信頼感があり、とても頼りになる存在です。

特にしっかりされているなと感じるのはスケジュール管理面です。プランをきちんと引いて、適切なアクション管理をしていただいたり、顧客チェックの期日がもし過ぎても徹底してプッシュしてくれますね。

また、決めたゴールやミッションに向かって”やりきる”という力は素晴らしいと思っています。顧客企業様から期待されていること、立てたプランをしっかりと実行してくれています。

顧客企業様との打ち合わせでは、次はどういう打ち手にしようかということを話し合う中で先方の意向に委ねてしまうこともあります。そのような環境でも、顧客企業様が求める人物像と、候補者をマッチさせるため、しっかりとご指摘や提案を行っていただきながら顧客企業様と一緒にチャレンジしていただけることを期待しています。

-他社との違いを感じることはありますか?


長澤さん:しっかり担当制を引いていただき、ECDの媒体としての得意な点/不得意な点を熟知されている、と言う点で、大変心強く感じています。

新たな機能についても全く心配することなく頭の中で情報をアップデートしながら使いこなしてくれています。隔週のECDとまるごと人事チームでの情報進捗ミーティングでは、もっとも深い内容の情報交換をできていると感じています。

-最後に、BeGlobalへの期待についてお聞かせください!


長澤さん:ダイレクトリクルーティングという手法をRPOという御社ならではの立ち位置で普及していただきたいです。あとはいままでの人材業界でメインだった”待つ採用”から、スカウトやタレントプールを活用した”攻めの採用”がメインの時代へと一緒に変えていきたいですね!

BG今:そうですね!これからも共に、採用成功する企業様をどんどん増やしていきたいと思っています。今回はお時間をいただきありがとうございました!

【Eight Career Design ホームページ】
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